こんにちは。ヒット習慣メーカーズの馬場です。
まだまだ暑いと思っていたら、あっという間に肌寒くなり、長袖どころか上着を羽織る気温になってきました。あまりの寒さにかくいう私も、先週末家の近くの温泉施設に温まりに行きました。久しぶりの温泉でとても快適に過ごすことができ、近場のお出かけとしてはこれ以上ない満足感を得られました。
さて、今回のコラムではそんな近場のお出かけに関する「Background Location」という新習慣をご紹介します。家でくつろいでいるときや、ドライブをするときにシーンに合わせたBGM(Background Music)をかける習慣のある方は多くいらっしゃるかと思います。「BGL(Background Location)」は、その逆でコンテンツ(音楽や小説など)に合わせて、訪れる場所を決める習慣になります。
いくつか具体例をご紹介します。一つ目は音楽で場所を決めるパターンです。このパターンについては、すでに音楽にあった場所を検索できるアプリがリリースされています。音楽アプリとも連携し、曲名等でおすすめの場所を検索できるほか、音楽の趣味が近い人が良く訪れる場所をおすすめしてくれる機能もあります。これまでは「地域+おすすめのカフェ」のような形で調べていたカフェ検索も「曲名」で調べる習慣がついている人が増えているようです。
2つ目は、小説を軸に行き先を選ぶというパターンです。実際に私の知り合いが本好き同士で会うときに、最近はまっている大正時代を舞台にした小説に合いそうなモダンカフェを探して、選ぶ場所を決めてみたそうなのですが、雰囲気も相まって非常に話が盛り上がったそうです。書籍であれば、小説以外にも様々なジャンルがあるので、その時々の気分に応じて場所を使い分けることができそうです。
食に関しては、もともと料理ジャンルごとにレストランが存在してはいますが、これまで以上に立地や周りの雰囲気を重視する傾向が出てきているようです。特に海外旅行になかなか行けない中で、中華街に出向き、食の前後も含め一つの国を深く味わう人や、逆に様々な国のレストランが密集した場所で複数の国を渡り歩く気分を楽しむ人が増えています。
Background Locationが広がっている最大の理由は、コロナ禍におけるお出かけ事情の変化だと考えられます。海外はもちろん国内でも大きな旅行がしづらい中で、自宅からそう遠くない範囲で、新たに魅力ある場所を探すことへのニーズが高まっているのではないでしょうか。実際、博報堂のオリジナルツールでTwitterの投稿数を見ても「日帰り」という言葉の投稿が、緊急事態宣言の解除以降、右肩上がりで増加しており、多くの方が時間をかけて遠出せずとも、楽しい体験ができたことをSNSに投稿していることがわかります。
旅行やお出かけ先について検討範囲が地理的に限定されることで選択肢が狭まったため、新たにコンテンツを軸とした検討がなされるようになったともいえるかと思います。初期のヒット習慣vol.2では「カラートリップ」として色で行きたい場所を選ぶ旅行習慣をご紹介しましたが、コロナを経て類似の新たな旅行習慣が出てきたとも捉えられます。
最後に、「Background Location」のビジネスチャンスについて考えてみました。
次の休日に何をするかお悩みの方がいらしたら、ぜひ「Background Location」を試して、身近な新たな場所と出会ってみてはいかがでしょうか!
2016年 博報堂に入社。
入社以来、デジタルやデータを中心とするマーケティングに従事。業務で培った知見を活かし、新たな習慣を生み出すべくヒット習慣メーカーズに参画。
ミュージカルのサントラを聞くのに最適なLocationを見つけるのが最近の目標。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。