窪田
生活者が日常の中で接するさまざまなものがインターネットにつながることによって「インターフェース」へと進化しています。企業やメディアはそこからデータを取得することで、生活者に新しい体験を提供できるようになりました。店舗においても、そのような双方向のコミュニケーションが可能になっています。私たちは「販促」の視点で、来店客とのインタラクションを生み出すさまざまな施策をこれまで設計し、実施してきました。
インタラクティブな購買行動は、生活者と企業の双方に新しい価値をもたらします。生活者は、無機質ではない、心を突き動かされるような購買体験を得ることができます。一方の企業は、単に商品を売るだけではなく、購買を通じて生活者との長期的な関係をつくることができます。
私たちはこれまで、そのような新しい購買体験を生み出すために、LINEとの協業を進めてきました。同社でオンラインとオフラインを融合させた販促の仕組みづくりに取り組んでいるのが、OMO販促事業推進室の江田さんです。LINEと販促がどのように結びつくのか、ご説明ください。
江田
私たちが提供している販促ソリューションの一つが、「LINEで応募」です。これは、LINEを使って誰でも簡単にキャンペーン応募ができるプラットフォームで、これによって買い物体験をより便利に、よりお得に、より楽しくすることが可能です。
販促用途におけるLINEの強みは、大きく3つあります。1つは、国内月間利用者数8600万人以上(2020年9月時点)のユーザーがいつでもどこでも使えるアプリであること。1つは、APIを広く開示しているため多くの企業にマーケティングツールとして使っていただけること。そして、最も大きな強みは、ユーザーに友だちのような感覚でメッセージを送ることができることです。この3つの強みによって、LINEは最強の販促ツールとなっている。そう私たちは自負しています。
窪田
カスタマージャーニーのそれぞれの段階で活用できるのも、LINEの大きな特徴ですよね。
江田
おっしゃるとおりです。店外告知、店内告知、購買、再来店の各段階で、「LINE広告」「LINEチラシ」「LINE Beacon」「LINEで応募」、さらにメッセージ配信といったサービスや機能をお使いいただけます。
窪田
SP EXPERT'Sは、それらの機能を活用した販促ソリューションをこれまで40以上開発してきました。販促だけではなく、継続的な購買につながるブランディングを視野に入れたソリューションです。
その活用例の一つが、飲料ブランドとアニメキャラクターのコラボレーションキャンペーンです。クイズと賞品を組み合わせることで販促効果を高めるだけでなく、ストーリーでメッセージを訴求することによって、楽しみながら商品のファンになってもらうことを目指しました。
江田
「LINEで応募」の機能を最大限活用しながら、ユーザーへのプッシュメッセージも上手に組み込んだ優れたキャンペーンだと思います。まさに、販促とブランディングを両立した取り組みですよね。
窪田
もう1つの事例が、自動車会社とアニメキャラクターのコラボレーションです。これは「LINEで読み取るポスター」を街中に掲示することによって、いわば街全体を生活者インターフェースにする取り組みです。LINEを使ったスタンプラリーといった楽しい体験の延長線上でディーラーを訪問してもらい、ディーラーを「クルマを売るだけの場所」から「地域の人が気軽に集まれる場所」に変えるのがこのキャンペーンの狙いでした。もちろん、キャンペーン参加者の行動ログはLINEのIDと紐づくので、継続的なコミュニケーションが可能になります。
江田
キャンペーン参加へのハードルを非常に低くできるアイデアだった思います。販促キャンペーンにLINEを活用することのメリットとして、参加ハードルを下げること以外に、ブランド体験を通じてデータを獲得できること、プッシュメッセージをOne to Oneで配信できること、データとクリエイティブを組み合わせて生活者に受け入れられるコミュニケーションを設計できることなどが挙げられます。これらのメリットは、あらゆる商品カテゴリーの販促に役立つと考えています。
窪田
SP EXPERT'SとLINEのコラボレーションのほんの一部をご紹介しました。このような取り組みを経て、このたび博報堂DYグループとLINEは販促領域における協業をさらに進めていくことになりました。この協業によって、これまで以上に多くの企業の販促活動を支援していくことが可能になると私たちは考えています。
江田
まさにクライアントのいろいろな課題を解決するための協業ですよね。すでに博報堂DYグループの皆さんとともに、リアル店舗で購買データを取得して企業の販促施策に活用する仕組みを開発しています。
窪田
これまで、リアル店舗での購買をユーザーIDと結びつけるのは難しいという課題がありました。LINEを活用した新しい仕組みによって、そのような課題を解決することが可能になりました。その第一弾の取り組みが、リアル店舗でポイントカードを提示するだけでキャンペーン参加が可能なソリューションです。
江田
生活者は日常的にいろいろなポイントカードを保有し、使っています。カードとLINEの組み合わせによって、いろいろなソリューションをつくっていけそうです。
窪田
ぜひつくっていきたいですね。LINEを活用することで、買い物を一方通行の行為ではなく、双方向の「サービス」に進化させていくことがこのコラボレーションの大きな目標です。これからも力を合わせて「新しい販促」に取り組んでいきましょう。
本日はありがとうございました。
店頭販促系広告会社、総合広告会社勤務を経て、2014年にLINE株式会社へ入社。法人ビジネス担当として広告営業に従事。2017年、LINEを活用した店頭販促ソリューションに特化した新規事業を立ち上げ、2018年7月より現職。
2010年博報堂DYメディアパートナーズ入社。デジタル媒体担当、大手飲料メーカー営業担当、統合メディアプラニング担当に従事。2018年、デジタル販促領域に特化した博報堂DYグループ横断組織「SP EXPERT’S」を設立。