ー今回のグランデ賞、博報堂のNetwork of the Year賞の受賞への貢献はWolfにとってどんな意味がありましたか?
最高の評価を受け、純粋に嬉しいという気持ちはありますが、クライアントであるCentral Department Storeが、我々と一緒に作り上げたキャンペーンに喜びと誇りを感じてくださっており、この作品でクライアントとより強い関係を築くことができたのが、一番の収穫です。
このようにクライアントと分かち合う喜びにまさるものは他にありませんが、一方で博報堂グループのサクセスストーリーの一部となれたことも大きな誇りです。Wolfは小さな会社ですが、クリエイティビティの高さが全てのビジネスの機動力となっています。 今回のグランデとNetwork of the Yearへの貢献を武器のひとつとし、会社を成長させていくつもりです。
https://www.youtube.com/watch?v=M6m20cylApY
ー受賞作品「Shop Unfriend」に込められた想いとは?
このキャンペーンは、コロナ第一波の後のCentral Department Storeの最初のキャンペーンでした。当時のタイの人々は、元の生活に戻るのをひたすら待っている状態でした。その気持ちを反映するかのように、2020年ブラックフライデー期間中に実施された最大のセールに2人の親友が出かける、と言うシンプルだけど生活者が心待ちにしている場面を設定し、そこで繰り広げられるストーリーなら効果があると考えました。
コロナ禍のロックダウン中にオンラインで買い物をしても、リアル店舗で他の人を押しのけてセール品の残り一つを獲得する喜びを味わうことができません。そこで、ストーリーの始まりからこの2人のライバル関係を築き、思い切り戦ってもらいました。タイ全体がコロナ禍や政治問題といった陰鬱なニュースに包まれる中、ほんの一時でも視聴者を楽しませるようなTV CFを作りたかったのです。
ー Wolfは、社員数15人と小所帯ですが、発足時より数々の広告賞を受賞しています。その秘訣や、Wolfの原点/大切にしている事などを教えてください。
Wolf は、2018年にスタートした小さいクリエイティブ・ブティックです。私たちは、クライアントとのパートナーとして、相互に尊重しあえる存在でありたいといつも考えています。そのため、Wolfでは、「正直である」ことを重要なポリシーとして掲げています。つまり、クライアントに対して、それが間違っている時は迷わず率直に「NO」と言う勇気と覚悟があるということです。それができないと、クライアントのビジネス目標を達成し、生活者の心をつかむという、私たちのゴールは決して達成できないのです。
自分たちを敢えて定義するとすれば、アーティストというよりも、「人間を理解する科学者の集団」に近いと思っています。私たちはデータを駆使し、極力科学的に分析し、試行錯誤を繰り返すことで、常に最善のソリューションを見つけることを得意としていますが、最後には「直感」が優先されています。
ーWolfの次のチャレンジは?
最も困難なチャレンジは、「将来の不確実性」に立ち向かうことだと思っています。
どの業界も、最も厳しい時期に差し掛かっている今、大胆なコミュニケーションキャンペーンをクライアントに採用いただくのはより難しくなってきています。我々は、キャンペーンがクライアントの投資に見合うものであることを証明するために、持ち得る全てのエネルギーを投入していく必要があると感じています。
BBDOバンコク、TBWAタイランド、そしてJ・ウォルター・トンプソン・バンコク等大手外資系広告会社でのキャリアを経て、その間にカンヌ・ライオンズで2回受賞している。2014年に博報堂グループに転職。2018年1月、Wolf Bkkを共同設立した。「仕事を楽しんでいるときに最高の仕事を得ることができる」という精神で日々、邁進している。
Lowe, TBWA and Ogilvy等のグローバルエージェンシーネットワークで20年以上にわたり、ブランディング業務に従事。広告愛好家、メンター、コミュニケーションプランナー、ビジネスリーダー。2018年、「行動するブランド」を創る広告会社Wolf Bkkを設立した。最も大胆な方法で物事を実行し、ブランドにとって最も効果的な結果を出すことをモットーとしている。