金子 明彦 デジタルマーティングプロデューサー
博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
マーケティングテクノロジー推進部 部長
上田 周平 マーケティングシステムコンサルタント
博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
マーケティングプラットフォーム部
──博報堂に入社するまでのそれぞれの歩みをお聞かせください。
金子
新卒で最初に就職したのは銀行です。融資担当などの仕事を3年くらいやりました。もともとデジタルビジネスに興味があったので、その後、ECプラットフォームの会社に転職しました。そこで、店舗の新規出店支援やデジタルマーケティングの部門で働いたことが、今に至るデジタル領域のキャリアのスタートでしたね。
次に転職したのが、デジタル専業広告会社です。デジタルマーケティングのことをもっと勉強して、多くの企業を支援したいと考えたのが転職の理由です。さらにその後、博報堂DYグループでデジタルコミュニケーションを手がけるスパイスボックス、もう1社別のデジタルビジネスの会社を経て、2016年4月に博報堂に入りました。
上田
僕は新卒で外資系のSIerに入って、営業の仕事を6年ほどやりました。インターネットビジネスに興味があって、事業づくりに関わりたいという思いもあったので、博報堂DYグループのメディアレップであるDAC(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム)に転職して、アドテクノロジーや事業企画などに関わりました。自分でサービスを企画して販売し、導入後のフォローまで手掛けたこともありました。
その後、子どもが生まれたこともあって、自分で働き方をデザインしたいと考えるようになり、独立してフリーランスのITプロデューサーとして5年間働きました。ちょうど子育てがひと息ついたタイミングにご縁があって、キャリアをストレッチするチャンスだとも思ったので、博報堂に入社することを決めました。
──現在、金子さんはデジタルマーケティングプロデューサー、上田さんはマーケティングシステムコンサルタントとして活躍しています。それぞれの仕事の役割についてご説明ください。
金子
ご存知のとおり、コロナ禍の影響もあって、DXは世界中の企業にとって喫緊の課題となっています。DXには、システムの導入だけでなく、組織体制や業務フロー、あるいは予算配分の変更までが含まれます。博報堂にもDXを支援してほしいというご相談が多数寄せられていますが、相談の内容は非常に多様で、かつ高度なスキルを要するものもあります。
デジタルマーケティングプロデューサーの一番の役割は、DXに関するそういった多様で高度なご要望に的確に対応することです。クライアントの課題をヒアリングし、問題点を整理し、グループ内外の専門スタッフを組織し、最良のソリューションをご提案する。その一連の作業のまとめ役がデジタルマーケティングプロデューサーです。
上田
マーケティングシステムコンサルタントの役割は、クライアントのビジネスやDXの課題を俯瞰的に把握して、マーケティング視点やシステム視点で解決策を考えていくことです。戦略を考えるだけでなく、実装や運用までを手掛けるところが、一般的なコンサルタントとの違いです。
例えば、マーケティングのDXの課題を解決する場合は、グループ内のマーケティングやプランニングのプロと一緒に、ECサイトの立ち上げから、体験設計、UXデザイン、顧客育成の方法までを考え、それをシステムとして実装し、さらにビジネスの成功をクライアントと一緒に目指すところまで伴走していきます。
金子
デジタルマーケティングプロデューサーとマーケティングシステムコンサルタントは仕事の領域が重なることも多いのですが、マーケティングシステムコンサルタントのほうがよりシステム寄りで、プロジェクトマネジメントのスキルがある人が多いという違いがあります。
上田
バリューチェーンで見ると、デジタルマーケティングプロデューサーは川上に近い方からDXに関わり、マーケティングシステムコンサルタントは運用など川下の方まで担うケースが多いと言えますね。
──マーケティングシステムコンサルティング局のメンバーは、全員がシステム開発のスキルをもっているのでしょうか。
金子
そんなことはありません。私は大学時代文系で、営業の仕事をしていた時期も長いので、システム開発のプロというわけではまったくありません。私の立場に求められるのは、むしろクライアントのマーケティング課題をしっかり把握する力であり、その課題解決に必要なツールについておおよその見当をつけられる力です。それさえあれば、あとはツールの専門家に聞けばいいわけですから。
上田
マーケティングシステムコンサルティング局は、部署名に「システム」と入っているので、システムの専門集団だと見られがちですが、実際はプランニングやUXデザインなどいろいろな案件を手掛けている部署です。その多様な案件に対して、多様な人材がそれぞれに力を発揮するのがこの局のスタイルです。
僕が属しているマーケティングプラットフォーム部は、マーケティングシステムコンサルティング局の中ではシステムのプロとして博報堂に入社した人が多い部署ですが、システムのスキルを軸としてマーケティング領域に専門性を広げている点に特徴があります。システム開発だけを手がけている人はほとんどいませんね。
金子
いずれのポジションでも、最も大切な素養はコミュニケーション力だと思います。マーケティングシステムコンサルティング局の仕事には、クライアントのヒアリングをしたり、解決策を提案したり、社内でさまざまな立場のメンバーと話し合ったりすることが含まれます。専門知識に加えてコミュニケーションのスキルが求められる仕事です。
──この部門における仕事の醍醐味をお聞かせください。
金子
マーケティングシステムコンサルティング局は、博報堂DYグループにおけるDXの取り組みのど真ん中で活動している部署です。ど真ん中にいるからこそ、いろいろな新しい情報が入ってくるし、どんどん新しいことにチャレンジできる。それが一番の醍醐味だと感じています。
──逆に、仕事の難しさはどのような点にありますか。
上田
定型の仕事がほとんどないところですね。様々な業種業態のクライアントから、多様なご相談をいただきます。それに対して、一つひとつ最適なご提案をしていくのが難しくもあり、また楽しくもあります。すべての仕事においてそのつど学びがあるという点では、とてもやりがいのある仕事だと感じています。
──クライアントからの相談の内容には、具体的にはどのようなものがあるのですか。
金子
比較的多いのは2つのケースですね。一つは、DXにともなってツールを導入したのだけれど、それがうまく機能せず、現場が困っているといったケースです。その際は、ツールのカスタマイズをしたり、運用の方法をご提案したりすることになります。もう一つは、現状のシステムや組織体制を診断し、必要があれば一から構築し直したいというご相談です。後者の案件は、上田さんのチームが担うことが多いですね。
──なぜ、DXに関する相談が博報堂に寄せられるのでしょうか。
金子
DXの重要な作業の一つにデータ統合があります。企業内のいろいろな部署に散らばっているデータを集めて、一元的に運用できる仕組みをつくる取り組みです。しかし、データは統合しただけでは一円にもなりません。統合したデータをどのように活用し、どのように価値を生み出していくのか。そこまで設計しないと意味がないわけです。
博報堂には、そのような価値設計をする力があります。マーケティングやクリエイティブの力によって、DXをビジネスの成果に確実につなげていくことができる。それが、博報堂が選ばれている理由ではないでしょうか。
上田
システムの専門性と生活者発想を軸としたマーケティングの知見を組み合わせることによって、企業や生活者に継続的に価値を提供していくことができる。それが、マーケティングシステムコンサルティング局の強みであり、博報堂DYグループがもつ他社にない特徴だと思います。
──今後の展望をお聞かせください。
金子
DXに正解はありません。クライアントの業界、企業、部署などによって求められることは千差万別です。だからこそ、クライアントや社内の仲間と一緒に方向性を模索しながら、そのつど最適解を見つけていかなければなりません。「答えのない仕事」の中で自分たちの力を100%発揮して、多くのクライアントのDXを成功に導いていきたい。そう考えています。
上田
今やDXは、クライアントの事業戦略や経営戦略の中核に位置づけられるようになっています。それにともなって、DXを支援する私たちの責任も大きくなっていると感じます。デジタルやマーケティングのスキルを高めながら、クライアントのチャレンジを力強く支えられるパートナーであり続けたいですね。
銀行、専業代理店等を経て2016年博報堂入社。様々な業種業態のクライアントに対してデジタルマーケティングの運用支援やマーケティングツールの導入・開発支援を担当。直近では特にCDPやMAを起点としたDXプロジェクトのPM業務を担当。趣味は釣り。
SI企業を経て、2005年よりマーケティングシステムのプロデュース、プロジェクトマネジメントに従事。2018年博報堂入社。企業のマーケティングDX/デジタルマーケティング実行へのコンサルティング~システム導入~運用までシームレスに支援。