こんにちは。ヒット習慣メーカーズの楠田です。
いよいよ夏本番。今年の夏は皆さん、いかがお過ごしされますか。
私は、相変わらずリモートワーク続きで、クーラーの効いた部屋にこもりっきりな日々を過ごしております。少し夏っぽいことをしたいな、と思いつつも、家でのんびり過ごすのも悪くないな、と思っている今日このごろです。
さて今回は、暮らしの変化に着目してみようと思います。
以前から、世の中的に注目度が高まっていましたが「ミニマリスト」が、最近また少し進化してきています。まずは、以下のGoogleトレンドを御覧ください。相変わらず、注目度が高い様子がうかがえます。
「ミニマリスト」とは、持ち物をできるだけ減らし、必要最小限のものだけで暮らす人。自分にとって本当に必要なものだけ持つことでかえって豊かに生きられるという考え方で、大量生産・大量消費の現代社会において、新しく生まれたライフスタイルを言うことが多いのですが、最近では、現代のテクノロジーによって便利になった家の暮らしの中身まで、あえて放棄して暮らしをしようとしている、ミニマリストをさらに進化したような、「◯◯のない暮らし」が広がってきています。
その象徴的な例が「冷蔵庫のない暮らし」です。
今の季節、冷たい飲み物を欲したりする機会が多いと思うのですが、それでも冷蔵庫を持たずに暮らす人が現れてきています。冷蔵庫を持たない暮らしをすると、いろいろなメリットがあるようです。
<冷蔵庫のない暮らしのメリット>
・冷蔵庫の電気代の節約になる
・その日に食べたいものだけ買うので、無駄な買い物が減る
・賞味期限が切れてしまったり、腐ってしまったりしたから、捨てるなどがなくなる
・冷蔵庫のスペースが空き、部屋に開放感が生まれる
・冷たい甘い飲み物を飲む機会が減るので、痩せる
など
上記について、もちろん個人差もあるとは思いますが、確かに冷蔵庫があるおかげで、いろいろ贅沢している部分もあるな、とも感じられますね。
続いては、「風呂のない暮らし」です。
これは、近年の銭湯ブームも相まって、周りにそういう方がいるよ、とか、自分もそうだよという方もいらっしゃるかな、と思います。実際に、「風呂なし」というワードでの検索注目度も高まってきていたり、関連ワード検索でも、「風呂なしアパート」や「風呂なし賃貸」という検索をする人が増えていたりする様子が伺えます。
ちなみに、「風呂のない暮らし」のメリットとしては、以下が挙げられるようです。
<風呂のない暮らしのメリット>
・家賃を抑えることができる
・銭湯の番頭さんと仲良くなったり、常連さんと顔見知りになったりして、地元とのつながりが生まれるきっかけとなる
・銭湯に行くために、1時間ほど時間を作る必要があるので、仕事をいったん切り上げるなど生活にメリハリがつく
など
確かに、ここ最近のリモートワーク続きで、ずっと家にいると生まれにくい新たなコミュニケーションや、生活のメリハリという点では、魅力的かもしれませんね。
最後は、「シンクとコンロのない暮らし」です。
これは、単純に料理をしないから、使わないし、いらないよ、という話ではなく、家で料理はするんだけど、シンクとコンロなくてもいいよ、という話のようです。シェアハウスなどに住まわれている方だと、コンロや水場が共用部分にしかなかったりするけど、それでも自分の部屋で料理をすることができるようです。包丁とまな板と、耐熱ガラス容器、オーブン機能付き電子レンジがあれば、自分の部屋で料理ができちゃう模様です。料理の手間が、切る、オーブンで焼く、電子レンジでチンする、調味料を加える、というような簡単な要素に絞ることで、お手軽自炊ができちゃうようです。
ここまで来ると、もはや達人の域だな、と個人的には思ってしまいますが、その場の工夫次第で、なんとでもなるんだな、と感服させられています。
では、なぜ「◯◯のない暮らし」が近年注目をあつめるようになってきているのでしょうか。その理由を考えてみました。それは、「街の私物化」にあると思います。私物化、というと少し言葉がきつい感じもするかもしれませんが、家の中だけを自分のものとして捉えるのではなく、コンビニを自分の冷蔵庫と捉えたり、銭湯を自分のお風呂だと捉えたりするなど、自身の家の周りの街も含めて、自分のものとして捉えて、暮らしをするようになってきているからだと感じます。それに伴い、自分の暮らし、自分のものと考える幅が広がり、その街の中で生まれたつながりや絆も大切にする人が増えているのだと思います。リモートワークなどで、仕事上の付き合いや人間関係が希薄化し、会社への帰属意識が薄れがちな中で、新たに生まれた自分の街でのつながりから、より、街を大切にしていきたい、という気持ちも高まっているのかもしれませんね。
改めて、普段の生活がいろいろなものに溢れて、便利に贅沢な暮らしをしているということを実感させられたのですが、いきなり「◯◯のない暮らし」をスタートさせるのは難しいんだろうな、と思ったりもしています。引っ越ししたり、2拠点目の暮らしを探したりする時に検討してみようかな、と思います。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
2011年 博報堂に入社。
入社以来、マーケティング職に従事し、お得意先や世の中の課題と向き合う。基本、テレビっ子。ドラマと、阪神タイガースをこよなく愛し、阪神の勝ち負け次第で翌日の気分がちょっと違う虎吉。