こんにちは。ヒット習慣メーカーズの村山です。
気づけば今年も11月に突入してしまい、あと2ヶ月ほどで1年が終わると思うと時の流れの速さに愕然とする日々を送っています。また、街の中にも徐々に人が増え始めているのも感じます。出社しても夜に人が少ないのは当たり前で、どこか物寂しい街に慣れてしまっていた分、ここ数日街を歩いているとなんだか懐かしいようなソワソワする気持ちになってしまいます。実際に「通勤」でトレンド検索しても検索数が緩やかに上昇していることがわかります。
そのようなリアルなつながりがだんだんと復活し始める社会における新しい潮流が、今回のテーマ「雑談ビジネス」です。オンラインで、簡単に誰とでも(ほとんど)いつでもつながることができる環境が整備されているにもかかわらず、確かに、特に会社の人たちとの間で減ったな、と実感があるのが「雑談」です。そんな「雑談」の重要性が見直されてきているようなのです。
ビジネスや生活の効率化を考えると、一見「雑談」は無駄のように思えますが、職場でのチームワークの向上やちょっとした息抜き、自分の悩みや企画の糸口がふとわかるなど、様々な効果が期待できるようです。確かに自分自身の会社経験を振り返ってみても、デスクの横に座っている先輩からふとしたことで話しかけられてちょっと息抜きになったり、休日の遊びの予定が発生して仲良くなったり、喫煙所で同期と最近はまってることについて話しているうちにアイデアの種がみつかって企画につながったり、新しい仕事に誘ってもらったりと、自分のもともと予定していた効率的な予定から外れた「雑談」が、様々ないいことにつながっていたように思います。コロナ禍にオンライン音声SNSが爆発的にヒットしたのも、このように以前はあった「雑談」への欲求の反動だったのかもしれないな、とも思います。
このようなオンライン化が進むデジタル社会における課題と欲求を捉えながら新しいビジネスにつなげようとしてる事例を先日ニュースで拝見して、いい企画だなあとびっくりしたことも記憶に新しいです。それは、飲料メーカーが提供する法人向けの自動販売機提供サービスなのですが、ちょっとした工夫があり、社員が2人で社員証をその自動販売機にタッチすると設置先の企業負担で飲み物がタダで買えるという仕組みになっています。めちゃくちゃいいなと。まだまだ実証実験の段階ではあるようなのですが、その実験では、とても多くの人が「コミュニケーションのきっかけになった」と回答しているようで、しっかりと「雑談」を生み出す装置として機能していそうです。たしかに、僕は喫煙者なので、喫煙所であった知り合いと会話するなどいわゆるタバコミュニケーションのありがたさを実感してきたのですが、喫煙者じゃないとなかなか休憩をあわせるキッカケもなかったのではないかなと想像されます。しかも、その雑談を生み出すことをビジネスとして展開しようとしているのですごいなあと。まさに「雑談」を生み出すことをビジネスにしている「雑談ビジネス」の好事例だと思います。
他にも「雑談」をビジネス化している事例はないかな、と調べてみたところ、ネット上で副売り物として「話し相手になる」サービスが売られていることに気づきました。さすがに、顔も見たことない人に仕事の相談をすることはできないですが、それこそ然るべき相手とテーマを選んで雑談をすることでアイデアの種は見つかるかもしれませんし、孤独なオンラインワークにおいてもちょっとした息抜きになるかもしれません。ちょっと会社以外の活動にバイネームで参加して話をするのが苦手な人も、単発で適材適所に活用すれば可能性がある気がします。さらに、ちょっと先の未来になりますが、人工知能(AI)が音声で雑談できるような技術の開発も行われているようです。まさにSF映画の中で描かれているようなロボットに人間が冗談を言いながら会話するサービスが開発されようとしているのです。ビジネスとして展開すれば、ロボットがアイデア出しのパートナーになったり、孤独な高齢者の会話相手になったりと様々なチャンスが想像できますね。
ここまでいくつか事例をご紹介してきましたが、急速にオンライン化が進んだニューノーマル社会において、まさにその必要性が浮き彫りになった「雑談」という寄り道や脱線する行為に価値が見出され始めていることがわかりました。ますます便利になる世の中ですが、一方で失われてしまった無駄や人間らしい質感のようなものに注目すると次のよりよい社会に向けたヒントが見つかるかもしれません。
最後に、「雑談ビジネス」のチャンスについて、少し考えてみたいと思います。
僕もあえて出社する頻度を増やして、隙間時間を作業時間に当てずに、社内外の知り合い(学生時代の懐かしい友達など?)とお茶してみるなど、雑談して見ようかなと思います。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
車からお菓子に至るまで様々なクライアントの情報戦略、企画立案に携わる。運動不足でたるみきった体と気持ちを鍛え直したいと思い、筋トレを始めました。