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ヒット習慣予報 vol.200『渡韓ごっこ』

2021.12.21

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中林です。

今回のコラムは、なんと、記念すべき第200回目です!!読んでくださっているみなさま、どうも有り難うございます。
少し前まで今年の冬は暖かいな、と思っていたのに、ここ数日でめっきり冷え込んできましたね。息が白く染まり、一日ごとに寒さが深まっていくのを感じます。
コロナの感染者数は落ち着いているとはいえ、もうしばらく自粛ムードは続きそうですね。何も気にせず外出できるようになったら、こんなことをしたいな~など考えながら、一日も早く以前と変わらない日常が戻ってくることを心待ちにして過ごしています。
自粛明けにしたいことと言えば、やはり旅行でしょうか。私自身、友人と話していても、ここに行きたい!というストックばかり増えて、なんとももどかしい気持ちになることが多々あります。

旅行についてGoogleトレンドで調べてみると、継続的に検索されつつ、やはり緩やかに上昇していることが分かります。

出典:Googleトレンド 検索ワード”旅行” 2020/12~2021/12

さて、今回ご紹介するのは、旅行にまつわるテーマ「渡韓ごっこ」についてです。
「渡韓ごっこ」とは、文字通り韓国旅行の疑似体験を意味していますが、コロナ禍で旅行に行けない今、韓国好きの人たちの旅行疑似体験が徐々に本格化しているようです。日本にいながら渡韓気分を味わう手段として、いったいどんなことが行われているのでしょうか?早速いくつかの事例をご紹介したいと思います。

まず初めにご紹介するのが、「なりきりごっこ」です。
従来は、韓国料理をテイクアウトしホテルで食べることで韓国気分を味わうのが主流でしたが、最近はコンセプトショップで韓国のアイドルになりきる「ごっこ遊び」がじわじわ流行し始めています。
具体的には、韓国の制服を着て、韓国の教室を再現した空間で過ごす、というものなのですが、ショップ内の韓国風空間は教室だけでなく、韓ビニ(韓国コンビニ)やカフェラウンジなども併設されており、日本にいながらリアルな渡韓体験ができるのです。
また、なりきりごっこはショップ内体験だけに留まらず、衣装をレンタルして出かけるケースもあります。コリアンタウンとして知られる新大久保や韓国風カフェなどはもちろん、テーマパークも人気スポットです。フォトスポットがたくさんあるだけでなく、テーマパークのカチューシャなどが華やかな衣装と相性がいいことも、人気の理由だと考えられます。

次にご紹介したいのは、「お土産ごっこ」です。
旅行って、現地での時間はもちろん楽しいですが、行く前の準備や帰ってきた後の余韻も醍醐味の一つですよね。
様々なジャンルの商品が月一回自宅に届くというサブスクサービスは、既に幅広い層において定着しているサービスですが、食べ物や雑貨、コスメなど韓国のトレンドが詰まった韓国ボックスが、日本にいながら渡韓気分を味わえると注目を集めています。
自宅に届くトレンド商品を「お土産」と捉えることで、日本にいながら旅行気分を味わえるのが人気の理由として挙げられますが、届いた「お土産」たちを友達同士で交換するお土産交換ごっこなども、楽しみ方の一つとしてあるようです。
また、サブスクボックスには常に最先端の商品が入っているため、トレンドを抑えるという側面で需要が高いということが伺えます。また、日本のショップでは取り扱いのないような商品も含まれているため、飽きることなく月一渡韓を楽しんでいるようです。

しかし、旅行できないのは韓国に限った話ではないのに、なぜ渡韓ごっこが盛り上がっているのでしょうか?
ひとつは、以前のヒット習慣コラムでも紹介されていた「ホカンス」との相性が非常に良いということが考えられます。もともとホカンスも韓国発祥の流行ですが、韓国料理をテイクアウトして非日常空間でリフレッシュする、という行動と、衣装を着たりお土産交換をしたりする行動を同時に行うことによって、より臨場感のある体験になるということが考えられます。
そしてもうひとつは、韓国は定期的に訪れる身近な旅行先として定着していたから、という理由も考えられます。日本と韓国は距離が近く低コストで気軽に行けるため、コロナ前は月一回などの高頻度で訪れている人が一定数いました。気軽に行けていた分、行けなくなった禁欲反動が大きく、疑似体験をすることによってなんとか渡韓衝動を抑えているのかもしれません。
また、YouTubeや動画サブスクサービスにおいて、韓国コンテンツが幅広い層から支持されていることも理由の一つなのではないでしょうか。トレンドの入れ替わりが激しい韓国コンテンツだからこそ、情報を追いかけて常に流行の最先端を押さえたいという気持ちが生まれ、旅行疑似体験の楽しみ方も日々進化しているのだと思います。

以上、「渡韓ごっこ」についてのお話でしたが、まだ実際に旅行ができる見通しがつかない状況下においてこのような需要はこれからも続くのではないかと予想し、今後の可能性について考えてみました。

「渡韓ごっこ」のビジネスチャンスの例
■衣装を着て韓国ドラマの疑似体験ができるスポットを作る
■韓国ボックス付きのホカンスパッケージプランを提案
■韓国の観光地を歩き回れるVRアプリを開発

年の暮れはなにかと慌ただしい日々が続くので、油断すると体調を崩しがちです。栄養のあるものをたくさん食べて、健やかにお過ごしくださいね。
栄養のあるものと言えば納豆。余談ですが、納豆は200回混ぜてから食べるのが一番体にいいみたいですよ。ということで、次回201回目のコラムは年始の投稿になります。
みなさま、どうぞよいお年をお過ごしください。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

中林 磨美(なかばやし まみ)
博報堂 生活者エクスペリエンスクリエイティブ局
ヒット習慣メーカーズ メンバー

2021年博報堂に入社。マーケティングプラナーという称号に見合う人間になるために現在毎日修行中の身。熱しやすく冷めやすいタイプですが、しめ鯖とジブリ作品は死ぬまで好きです。

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