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ヒット習慣予報 vol.201 『なんでもマネタイズ』

2022.01.11
#トレンド

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中川です。

2022年1本目のコラムです。読者のみなさん本年もよろしくお願いいたします。最近では、クライアントやメディアのみならず同業の広告会社の方たちまで幅広い方々からコラムの反響がくるようになりました。それが、ネタ切れに怯えながらもなんとか毎週更新していく私たちの強力なモチベーションになっています(笑)ありがとうございます!新型コロナの影響で人々の習慣はどう変わっていくのか?という問い合わせも多く、これからもみなさんにヒントを与えられるようメンバー一同頑張っていきたいと思います。

さてお正月と言えばお年玉、というわけでもないですが、新年一発目はお金に関するテーマです。名付けて「なんでもマネタイズ」。お金の稼ぎ方が多様化しているという話です。コロナ禍でリモートワークが広がり、またあらゆる手段がデジタル化される中、意外なお金の稼ぎ方が増えているようです。Googleトレンドで「副業」というキーワードを見ると2015年くらいから上昇トレンドに転じています。がっつり稼ぐというよりは、お小遣い稼ぎ程度のニーズが高まっているのかもしれません。

〈「副業」に関する検索数の推移〉

出典:Googleトレンド

では具体的に見ていきましょう。ひとつめは「趣味のマネタイズ」です。
オンラインで仕事をお願いするクラウドソーシングと呼ばれるプラットフォームが徐々に世の中に浸透してきました。立ち上がり当初はライティング、WEB制作、ロゴ作成など普段やっている仕事の延長のようなものが多かったですが、最近では趣味の延長のものが増えてきました。例えば、3000円でプラモデルを塗装して組み立ててくれたり、1000円でゲームの攻略方法を教えてくれたりと自分が得意なこと、好きなことでお小遣い稼ぎができる環境が整ってきているのです。

続いて、「自動的にマネタイズ」。
昨年から話題になっているのは、歩くだけでポイントが貯まるスマホアプリ。スマホにアプリをインストールして会員登録すれば、あとは歩くだけで自動的にポイントが貯まって、クーポンやギフトカードなどに交換できるものです。私の周りでもハマっている人が多く、人気のアプリは新規会員登録をストップしているほど。また、買物で得たポイントが自動的に投資運用されて気がついたら増えていたというサービスや、節電するだけでポイントがもらえるサービスなど「ポイ活」周りも活況です。

そして、今かなり注目が高まっているのが「NFTでマネタイズ」です。
Googleトレンドで見ると、NFTというキーワードが2021年から急激に伸びています。小学生が描いた絵がNFTで高額取引されたというニュースを見た方も多いでしょう。NFTとは、ブロックチェーン技術を使ったデジタル資産の一種で、画像や音声などのデジタルデータを唯一無二のものとして商品化できる技術です。著名なアーティストが、自ら演奏した楽曲を1音ごとにNFTで販売して即完売したのも話題になりました。デジタルデータであればなんでもNFTにできるので、今後も意外なものがどんどんNFTマーケットで取引されるようになることが予想されます。

〈「NFT」に関する検索数の推移〉

出典:Googleトレンド

では、なぜいま「なんでもマネタイズ」が広がりつつあるのでしょうか。
まずは「デジタル化で換金手段が増えたこと」が挙げられます。WEBサイトで遠く離れた人とマッチングできたり、スマホアプリで日々の行動ログがとれたり、ブロックチェーン技術でデジタルデータの唯一性が証明できたり、今までできなかった換金手法が圧倒的に増えました。そして、それがコロナ禍で一部の人だけではなく多くの人まで普及したことで、未来の話が一気に現在の話へと前倒しされたのです。
もう一つは「日本人のマネーリテラシーの向上」が挙げられます。かつての日本人はお金の話題をすることに抵抗がありましたが、フィンテックが進み、お金の使い方が見える化されたことで、資産運用に興味を持つ人が増えました。つい先日も情報番組で子どものお小遣いを「年棒制」にしてお金の使い方を学ばせるという話題を目にして、日本全体のマネーリテラシーの向上を感じました。

このように広がりつつある『なんでもマネタイズ』ですが、これからも多くの人が実践していくことが予測され、そこには新たなビジネスチャンスが広がっています。

『なんでもマネタイズ』のビジネスチャンスの例
■企業のファンをオンライン会員化して、新商品の面白いアイデアを買い取る仕組みをつくる
■睡眠関連メーカーが寝るだけでポイントが貯まる睡眠貯金アプリを開発する
■家具メーカーがメタバース(デジタル仮想空間)で自社の家具を三次元データ化して、NFTとして販売する
など

知人のおばあさんがボケ防止でつくっているぬいぐるみが可愛いので、知人が試しにネットで販売したところとても人気が出て、メディアで取り上げられたり、とあるセレクトショップで取り扱いされたり。年をとっても、得意なことが世の中に認められて、さらにお金に還元されちゃう仕組みって素敵ですよね。これからもどんどん、そういう生きがいややりがいが増える社会になるといいですね。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

中川悠(なかがわ・ゆう)
生活者エクスペリエンスクリエイティブ局チームリーダー
ヒット習慣メーカーズ リーダー

メーカーの商品開発職を経て、2008年に博報堂中途入社。
戦略CDとして、日々お得意先や社会の課題に向き合っている。最近運動不足なので、スマホのアプリで毎朝10分間くらい運動するも、今のところ特に体形に変化がない。

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