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ヒット習慣予報 vol.212『動画みながランチ』

2022.03.29

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中川です。

まだ肌寒い日もありますが、少しずつ暖かくなり春を感じるようになってきました。外を歩いて太陽の日差しを浴びるととても清々しい気持ちになります(花粉さえなければ最高なのに…)。私は気分転換もかねてほぼ毎日出社しているのですが、会社に人はまばらでランチタイムもだいたい一人で食べに行ったりお弁当を食べたりしています。そんなひとりランチの人増えているんじゃないでしょうか?Googleトレンドで「ひとりランチ」というキーワードを見ても一回目の緊急事態宣言のときに大幅に下がったものの、徐々に伸びてきて、コロナ前よりも検索数が増えていることがわかります。今回はそれにちなんだテーマです。

〈「ひとりランチ」に関する検索数の推移〉

出典:Googleトレンド

ひとりランチをするときによくみかけるようになった風景があります。それはイヤホンをしてスマホの動画をみながらご飯を食べる人が増えたことです。家にいるとテレビをみながらご飯を食べる人も多いでしょうから、ある意味自然な流れなのかもしれませんが、ネット上では賛否両論が繰り広げられているようです。確かにとらえ方は人それぞれだと思うのですが、見過ごせない現象だと思ったので取り上げたいと思います。

具体的にどんな動画をみているのでしょうか。ひとつめは「サブスクドラマ」です。
サブスクリプションサービスも広がり、海外ドラマをはじめとした多くのコンテンツが溢れていて、寝る間を惜しんでみる人が増えています。コンテンツが増えるのはありがたいですが、それによって大忙しという人も多いはず。私の妻も移動中も寝る前も常に何かしらのドラマをみています。そういう人にとって、ランチタイムは絶好の視聴タイミングなので食べながら没入するのでしょう。 短い時間で見終わるために1.5倍速など駆け足でみる人も増えています。

続いて「モッパン」です。
これは韓国で流行っていて、とにかくいっぱい食べる姿をみせる動画です。韓国語の「食べる=モクタ」「放送=バンソン」が組み合わさって「モッパン」になったとのこと。もともと韓国では複数人で食事をする文化があるのですが、単身世帯が増えた影響でひとりご飯が増え、誰かと一緒にご飯を食べている気がするモッパンが広がったのだとか。その波が日本にも訪れて、一人でご飯を食べるときにみる人が増えているようです。普通の大学生から有名タレントまでいろんな人がゆるく話したり質問に答えたりしながらひたすら食べる動画がYouTube上にあふれています。

Twitterで調べてみると、上記以外にもいろんな動画がみられています。ひたすら推しのアーティストのミュージックビデオをみて癒される人や、英会話の動画をみてスキルアップをはかるストイックな人、スポーツ観戦など今まさにライブでやっている動画をみる人など多様な用途があるようです。私自身もデスクでお弁当を食べるときに、見逃したテレビ番組をみるときがあります。

この「動画みながランチ」が広がっている理由は、冒頭にお話ししたように、コロナ禍の影響でひとりでランチをする機会が増えて、その時間を有意義にしたいという人が増えたことやYouTube、サブスクサービス、テレビ番組見逃し視聴サービスなど動画コンテンツが溢れていることがあげられます。それ以外にも、ずっとデスクに座ったまま作業をしたりリモート会議をしたりする時間をリセットする意味合いもあるのでしょう。

このように広がりつつある『動画みながランチ』ですが、これからも多くの人が実践していくことが予測され、そこには新たなビジネスチャンスが広がっています。

『動画みながランチ』のビジネスチャンスの例
■飲食店のおひとり様用のカウンターに動画が見やすくなるスマホの置台を設置する。
■ランチ時間帯にスポーツやアーティストのライブ配信動画をオンエアする。
■動画をみながらでも食べやすい、テイクアウト用のワンハンドグルメのラインナップを増やす。
など

私はパソコンで仕事をしながらお弁当をほおばることが多くて、なんだかせわしないなと自分でも思っているので(笑)、好きな推しアイドルのライブビデオでもみながらのんびりランチをして、たっぷり癒されてから午後の仕事を迎えたいものです。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

中川悠(なかがわ・ゆう)
生活者エクスペリエンスクリエイティブ局チームリーダー
ヒット習慣メーカーズ リーダー

メーカーの商品開発職を経て、2008年に博報堂中途入社。
戦略CDとして、日々お得意先や社会の課題に向き合っている。最近運動不足なので、スマホのアプリで毎朝10分間くらい運動するも、今のところ特に体形に変化がない。

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