博報堂生活総合研究所アセアン(以下、生活総研アセアン)は「アセアン生活者研究2020」として、「The Rise of Conscious ASEANs ~社会・環境に対する課題意識の高い『コンシャスなアセアン生活者』の実態を探る」をテーマに、アセアン生活者の意識・行動に関する調査・研究を実施。このたび、結果およびマーケティングへの示唆をまとめました。
アセアン6か国※1で実施した定量調査、家庭訪問調査、KOL(Key Opinion Leader)へのインタビューから、「コンシャスな(課題意識の高い)ライフスタイル」を日々の生活に積極的に取り入れるアセアン生活者の姿が浮かび上がりました。生活総研アセアンでは、急成長するコンシャスなアセアン生活者を「コンシャスライツ(Consciouslites)」と名付け、彼らのライフスタイルや消費意識・行動を分析。生活総研アセアンのWebサイトにて結果を公開しました。本レポートでは、分析結果の一部をご紹介いたします。
※1)調査対象国=タイ、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン
■調査結果のポイント:コンシャスなアセアン生活者の意識・行動
① 定量調査結果のポイント
【「コンシャスなライフスタイル」の認知・行動】
・アセアンでは、生活者の9割が「コンシャスなライフスタイル」という言葉を認知。約8割が実際に日々の生活に取り入れている
【コンシャスな取り組みへの積極度】 ※数値は「コンシャスなライフスタイルを取り入れている」人ベース
・アセアンのコンシャスライツのうち、86%の人が「主体的に」コンシャスな取り組みを行っている(「誰かに言われなくても主体的に行う」+「行うだけでなく周囲も巻き込む」)と回答
【ブランド選択における重視点】 ※数値は「コンシャスなライフスタイルを取り入れている」人ベース
・「もっと多くのブランドがコンシャスなライフスタイルを提唱し、社会に良い影響を与えるような取り組みをすべきだ」と回答したアセアンのコンシャスライツは85%、「『社会に良い影響を与えるかどうか』が別ブランドへ乗り換えるきっかけになる」は82%と、8割以上のコンシャスライツが社会に配慮したブランドを重視する傾向にある
【コンシャスな製品に対する価格意識】 ※数値は「コンシャスなライフスタイルを取り入れている」人ベース
・アセアンのコンシャスライツのうち、81%の人がコンシャスなライフスタイルに関わる商品に対して、「一般的な商品よりも多く金額を支払う」と回答
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② 定性調査結果のポイント
【「コンシャスなライフスタイル」を始めたきっかけ】 Near & Dear ―身近で親しい人のために
・アセアン生活者にとって環境や社会問題(洪水、ゴミ、海洋汚染、貧困など)は、他地域の生活者に比べてより身近なこと。そのため「地球全体」や「困っている誰か」ではなく、「私や家族」「私たちの国や地域」といった身近な対象のために行動に移す傾向にある
【「コンシャスなライフスタイル」の取り組み方】 Good Vibes Only ―心地よく感じるムードで
・概してポジティブで楽観的な気質のアセアン生活者は、簡単で楽しい方法を好み、極端にコンシャスになることを避ける傾向がある。コンシャスな取り組みを長く続けるため、自分自身に過度なプレッシャーをかけず、「心地よさ」を感じられる範囲で余力を残しつつ活動している
【「コンシャスなライフスタイル」を広める手法】 #InstaGOOD ―SNS映えするコンシャス
・SNSで自身の情報をシェアすることに熱心なことも、アセアン生活者の特徴の一つ。コンシャスな取り組みも、「楽しい」「オシャレ」「SNS映えするから」といったシンプルな理由から実践している人が多い
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■調査結果からみるアセアンの「コンシャスライツ」の特徴
アセアンにコンシャスライツが急増している背景には、環境・社会問題が実際に彼らやその周囲の人々の実生活に影響を与え、身近な課題として認識されていることが深く関係しています。今回の調査から、コンシャスなライフスタイルはアセアン生活者の消費行動やブランド選択に影響を与え、近い将来企業のマーケティング活動を大きく変えるほどの影響力を持つことが明らかとなりました。
生活総研アセアンは今後も、アセアン生活者の意識・行動に関する研究を通じ、アセアンにおける企業のマーケティング活動を支援してまいります。
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