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博報堂Pechat開発チーム・博報堂こそだて家族研究所・LITALICO発達ナビ「ASDと子育て実態調査」結果発表
第三弾「広げよう!理解・支援の輪!」編
― ASDの子育てへの周囲の理解・支援状況とその影響 ―
2020.05.14
株式会社博報堂の次世代育児アイテムPechat開発チームと博報堂こそだて家族研究所は、学習塾や障害児支援事業を行う株式会社 LITALICOと共同で、ASD(Autism Spectrum Disorder=自閉症スペクトラム)※1の診断や傾向のある子どもを育てる家庭の実態や周囲の支援のあり方を把握するための「ASDと子育て実態調査」を実施しました。
今回は、第三弾の調査結果として「広げよう!理解・支援の輪!」編をご報告いたします。調査結果からは、ASDの子の子育てにおいて周囲の理解や支援が充分に得られていない現状に加えて、理解や支援が得られていると感じている保護者ほど、ASDの子どもの発達特性をこれからの成長過程で「強みになる」とポジティブに捉えている傾向があることが明らかになりました。
なお、ASDの実態や子育てのヒントを研究・発表するWEBサイト「教えて!はったつ博士」(http://h-hakase.jp/、3者共同で運営)でも調査結果の詳細をご紹介していますので、併せてご活用ください。
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〈調査結果のポイント〉
- 「ASDと診断された子」の保護者が抱いている子育てへの意識は、「正解がわからない」(69.0%)、「不安がある」(68.1%)、「大変」(53.9%)がTOP3に。この3項目は、「典型発達の子※2」の保護者の回答結果と比較しても特に大きな差が見られる。
- 「ASDと診断された子」の保護者の6割以上が、「子育てをする上で困っていることがある」と回答。
- 「ASDと診断された子」の保護者の過半数が、ASDの子どもの子育てをする上で、周囲の理解や支援が「とても必要」と回答。一方で、実際の子育てにおいて周囲の理解や支援を得られていると思うかを聴取したところ、「とてもそう思う」と回答した人は17.4%と低い割合にとどまる。
- 「ASDと診断された子」の保護者が、子育て支援を求める対象として「国・自治体などの公共機関・相談窓口」(51.7%)が1位となったが、実際に支援を得られていると答えた保護者は 35.4%にとどまっている。
- 「ASDと診断された子」の保護者が必要と思う子育て支援の内容は、「ソーシャルスキル(友達とのかかわり方、社会性)を伸ばす支援」(58.2%)が最も高い結果に。子育てに必要なツールとしては「コミュニケーションを活発にするための教育ツール」(60.7%)が1位だった。
- 「ASDと診断された子」の保護者のうち、「子育てにおいて周囲の理解や支援が得られているととても思っている」と答えた人の約8割が、「子どものASD特性を強みに思う」と回答。「ASDと診断された子」の保護者全体よりも15.9pt高い結果に。
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※1)ASD(自閉症スペクトラム):「スペクトラム」と言われる通り、虹の帯のように境目なく連続しており、症状や特性は一人ひとり多様です。また、生活における困難さは個人の特性と周囲の人的・物的環境との相互作用によっておこるため「どこからどこまでが障害」と機械的に線引きできるものではありません。最近では、 ニューロダイバーシティ(neurodiversity:自閉症スペクトラムなどの発達障害の特性は障害ではなく「ヒトの脳の神経伝達経路の多様性」とする考え方)も広がっています。
※2)「典型発達の子」:自閉症スペクトラムやその他の発達障害の疑い圏にいない子。NT(neurotypical:神経学的典型)という分類が由来。
〈調査概要:ASDと子育て実態調査②〉
調査手法:インターネット調査
調査エリア:全国
調査時期:2020年1月
調査対象者: 20~60代男女(N=1,292)
-ASDと診断された0~22歳の同居子を持つ保護者(N=545)
-ASDやその他の発達障害の診断や疑いのない(典型発達)0~22歳の同居子を持つ保護者(N=747)
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