株式会社博報堂DYメディアパートナーズ(東京都港区、代表取締役社長:矢嶋弘毅)と株式会社博報堂(東京都港区、代表取締役社長:水島正幸)との共同研究プロジェクト「コンテンツビジネスラボ」は、毎年実施している全国調査「コンテンツファン消費行動調査」の2020年版を実施し、そのデータをもとに最新の全11カテゴリ・計1000以上のコンテンツに関する、「リーチ力・支出喚起力*ランキング」を算出いたしました。
■リーチ力・支出喚起力ランキングの概要
2020年調査における「リーチ力・支出喚起力ランキング」Top20(下図)を見ると、新たにランクインしたコンテンツに共通するのは、デジタルからアナログまで様々なプラットフォームにそのコンテンツとの接点が用意されている、という点です。
昨年の調査結果リリース「ストリーミングサービス・動画サービスの活況を背景に、音楽コンテンツが上位を占める」と同様に、ストリーミングサービスで火がつき、NHK紅白歌合戦への出場まで至ったOfficial髭男dism、菅田将暉、King Gnuがリーチ力ランキングの上位に急上昇しました。彼らは、リリースする楽曲の多くが映画・ドラマの主題歌やCMソングに起用されたり、メンバーがラジオのパーソナリティをつとめたり、ファッションアイテムとコラボするなど、デジタルプラットフォームサービスの他にもハマるきっかけとなる入り口が多数用意されていたという共通点が見られます。
昨年から大ヒットしている漫画『鬼滅の刃』は、リーチ力・支出喚起力ともに上位にランクインしました。日本でサブスクリプション(サブスク)サービスの利用者が拡大するタイミングで、テレビアニメを動画サブスクサービスでも配信し、テレビアニメ視聴者以外のサブスクユーザーも獲得できたこと、また、著名人が話題にしたり、単行本が発売されるといった話題になるタイミングで随時視聴できる環境が整備されていたことがリーチ力の拡大につながったと考えられます。さらに、アニメの続きは漫画でしか読むことができないため、漫画本を購入するファンも多く、支出喚起力の上昇につながりました。加えて、アニメ主題歌であるLiSAの『紅蓮華』が大ヒットするなど、関連作品との相乗効果も生み出しています。
支出喚起力に注目してみると、2019年11月にストリーミング解禁を行なった嵐は、支出喚起力が昨年の1.5倍以上となりました。また、新しく上位にランクインしたコンテンツの半数が男性(アイドル)グループで、2020年1月にCDデビューを果たしたSnow Manも急上昇を見せています。Snow Manは、CDデビュー以前から、テレビ番組やラジオに限らず、公式YouTubeチャンネルでの動画配信も行なっており、新たにデジタルプラットフォームでコンテンツを提供したことが、新規ファンを獲得した要因と考えられます。
※参考データ:デジタルプラットフォームサービス 平均利用数の推移
デジタルプラットフォームサービス(動画配信サービス、ラジオ、新聞・雑誌関連サービス、小説・漫画関連サービス、音楽配信サービス、ゲーム、スポーツストリーミングサービス等)について、過去5年間の一人あたりの「平均利用サービス数」の推移を見ると、2015年のNetflixのサービス開始、2016年のSpotifyのサービス開始などを転換点に、直近では平均8.0個と、生活者が利用するサービス数は大きく伸長していることがわかります。
このようなサブスクサービスやデジタルサービスの台頭により、音楽=CD、アニメ=DVD・Blu-rayといった限定的な支出カテゴリ以外への展開が伸びており、利便性や体験の質を求める生活者の増加により、デジタルチャネルへの対応も加速。デジタルプラットフォームの活用が、今後さらにリーチ力や支出喚起力に大きく影響していくことが予想されます。さらに新型コロナウイルスの影響で、様々なコンテンツジャンルにおいて生活者の安全性に配慮した動きが加速する中で、デジタル上でのライブ体験やライブコマース、投げ銭イベントは盛り上がりを見せ始めています。今後もこのような傾向は進んでいくと思われます。
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*リーチ力と支出喚起力
企業のコンテンツ活用を促進するために、コンテンツビジネスラボが開発した独自指標のこと。
リーチ力:そのコンテンツが一年間に到達できる人数を表す指標。コンテンツの力を活かして幅広い生活者に自社商品やサービスを知らせる際に参照。この指標が高いと、キャラクタータイアップ・CMへの起用・PRなどの活用に向いている。
支出喚起力:コアファンによる、年間の関連市場規模の指標。自社の商品やサービスそのものにコンテンツを組み込んだオリジナルの企画を開発し、コンテンツファンの実際の購買を目的とする際に、どのくらいの売上規模が見込めるかを推計することができる。
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