博報堂生活綜研(上海)は、中国伝媒大学広告学院と共同研究を行い、「生活者“動”察」の9 回目となる研究成果を本日発表しました。今年の研究テーマは、「中国の未来を担う若者、00 后(2000 年代生まれ)の実像」です。
最近中国では、目標を下げてのんびり過ごそうとする若者のライフスタイルを指す「タンピン(躺平)=寝そべり)」というコトバが流行語となっています。それを裏付けるかのように、2012 年の調査では、将来「上」級の生活水準を目指したいと回答する若者が79%だったのに対し、2021 年の調査では56%へと減少しています。
一方で、00 后対象のインタビュー調査では、「仲間とは“タンピンしたい“等と話しているけれど、実際には綿密な人生計画を立てて努力している。」、「仲間内での競争を煽りたくないから、隠れて勉強している。」といった発言が相次いでいます。
経済的にも教育環境的にも恵まれた状況下で育ち、自分の生活水準は「上」級である(2012 年11%→2021 年27%:データ1)と解答しながらも、国のGDP 成長率減速、過酷な受験戦争、有効求人数の低下など、自分たちを取り巻く競争環境は激化していることを認識し、プレッシャーを感じています。
コロナ禍で世界経済の先行きも不透明な中、生活水準を「現状維持か、低下させても良い」と考える人は2 割に過ぎず、多くの若者は向上心そのものを失ってはいないのです(データ3)。
“タンピン”は、友人や同級生/同僚といった身近なコミュニティ、【近圏】の中で仲間と戦ったり、彼らの嫉妬や比較の対象になったりしないための隠れ蓑であり、多くの若者たちは「不透明感も増す社会を生き抜くために自分を着実に成長させておきたい」という意識を抱いていることがわかりました。
■【遠圏】チカラを活用して、生き抜いていく欲求=「系遠(シー・ユエン)」
今回、2種の調査結果の分析から、遠くの第三者【遠圏・えんけん】のチカラを巧みに活用する若者たちの存在が明らかになりました。
彼らはSNS を自在に駆使して、【近圏】のしがらみの無い「気兼ねなく付き合える遠圏の人の知識や能力を活かして、着実に自分の能力を高め、前進させていきたい。」という欲求を抱いています。私たちは彼らの欲求を「系遠(シー・ユエン)」と名付けました。
<系遠の主な特徴>
(1)正確な情報を得るために、 SNS上でのみ会話したことがある専門知識のありそうな人 に質問する
(2)スキル /能力を手にするために、 同じ目標を持つ見知らぬ 第三者 とオンラインでつながって切磋琢磨する
(3)近圏の人に言えない本音を、 共通の趣味でつながり、たまに連絡を取る人 にぶつけてみる
本日、開催された「生活者“動”察2021」発表会では、 この 「系遠」 という欲求を 持つ若者の 詳細な 行動特性をご紹介するとともに、彼らに向き合う 企業にとって重要 な マーケティングの視点 、ヒントをご提案しています。
詳細に関しましては、博報堂生活総研(上海)のサイトをご覧ください。
≫調査データ等詳細につきましてはこちらをご覧ください