こんにちは、ヒット習慣メーカーズの山崎です。
先日、100円ショップで探しものをしていたときに「うちわケース」というものを見つけました。どうやらそれは、推し活で使うデコレーションうちわをライブ会場まで大切にもっていくためのケースのようです。それが100円ショップで手軽に購入できるほどに推し活という文化が一般化していることに少し驚きました。
「推し活」の検索数を見てみるとここ5年でぐぐっと上昇しているのが分かります。今や推しがいない人のほうが少数派なのかもしれません。
「推し」というとアイドルや人気声優、アニメのキャラクターなどを想像しがちですが、最近は推しの概念が広がり、家族やペットを「推し」としてオリジナルのグッズを制作する人が増えているようです。これまでにも家族の写真を飾ったりスマホの壁紙にしたりという行動は見られましたが、アイドルやキャラクターの公式グッズと同じクオリティで制作できるという点が新しく、新たな習慣として広がりつつあります。
今日はそんな「家族の推し活」とそのグッズ化についてご紹介いたします。
1つ目は、写真プリントの日常雑貨です。
子どもやペットなど推し家族の写真をプリントしてパジャマやトートバック、ポーチなどを制作できるサービスが流行しています。推しの顔写真が印刷されたポーチを通勤カバンに忍ばせておくことで、文字通り推しを養うために働くエネルギーをもらっている人もいるようです。また推し本人に自分の制作したグッズを着てもらえるのも推しが家族ならではの楽しみ方ですね。
2つ目は、推し家族のアクリルスタンドです。
推し活の定番アイテムであるアクリルスタンドを簡単に制作できるサービスも広がっています。立体的な存在感が嬉しいグッズですが、発色がクリアで強度が高いという物理的なメリットもあるようです。実寸大の手形や足型などを成長の記録として制作し、祖父母や親戚にプレゼントする人もいるようです。
3つ目は、オリジナルLINEスタンブです。
子育て層や愛犬家を中心に話題になっており、写真に合わせてテキストやフォントを簡単にカスタマイズできるアプリもリリースされています。家族LINEや飼い主仲間の日々のメッセージの中で推し家族のかわいい写真が行き交うことを想像すると心が満たされますね。
家族の推し活が広まっている理由は、「推し」の概念の拡張とともに、もともと推し活文化に存在した多様なグッズが浸透しはじめていることだと考えられます。また、SNSの普及で写真を現像する機会が減ったことにより、愛する対象をモノとして実在させたいという欲求が高まっていることも後押ししているようです。
最後に、今後の広がりについて、考えてみました。
ここまで「家族の推し活」についてご紹介してきましたが、推しという存在はきっと家族でなくてもよくて、例えば大切に育てている植物や旅先で出会った一点物の食器なども「推し」になると思います。自分にエネルギーをくれる存在がある、それが生活のシーンの中に登場する、ということが大切なのではないでしょうか。推し活は日々を明るく過ごすための習慣なのだな、と思いました。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
2021年博報堂に入社。マーケター3年目を日々奮闘中。生き物が好き。最近気になっているのはいわき市のアンモナイトセンターの化石掘りです。