こんにちは。ヒット習慣メーカーズの鈴木です。
今年は全国的に梅雨明けが遅れ、天気の悪い日が続きますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?私はジメジメと気持ち悪い日が続く中、先日大学時代の友人が結婚するという爽やかで嬉しい出来事がありました。その友達は一人旅が趣味で、自分の時間をかなり大切にするタイプなのでよく結婚に踏み切ったなと思っていたのですが、聞いてみるとそういった自由な生活をある程度確保したいとの考えでなんと結婚前に細かい結婚後の決まりごとをまとめた契約書を交わしたというのです。
個人的には結婚前に契約書を交わすということが驚きだったのですが、それから気にしてみていると、最近も有名歌手の方が同じく結婚前に契約書を交わしていることが情報番組で取り上げられ、ソーシャルでも大きく話題になっていました(下記図参照)。
<「婚前契約」の検索推移>
これだけ注目されたということは、今の時代の人たちの気持ちを捉えている何よりの証拠。婚前契約書を交わすことが少しずつ一般的になっていくのではないかと感じました。そこで今日は「自由のための婚前契約」について考えたいと思います。
まず、先述の友人に婚前契約書を書くことになった経緯を聞きつつ実際の契約書を見せてもらいました。実際の契約書を見せてもらうと、「甲は・・・」「乙は・・・」等の言葉遣いや、最後に2人の捺印を押すようになっている等、その言葉遣いやフォーマットの正式さに驚きました。
肝心の契約書を作ることになった理由ですが、お互い自分の時間を大事にしたいタイプで、結婚後もある程度お互い自分のための時間を確保したい。奥さんは結婚後働き続けることを希望しているため、奥さんのキャリアも大切。一方で子供も欲しい等、やりたいこと、実現したいことがたくさんある中、後々の齟齬をなくすため。また、それぞれがやりたいことを結婚後も自由に、しっかり叶えるため契約書を交わすことになったとのことです。
このように、「契約」というと一見すごく事務的なもので、不利益を被らないための予防線のようなネガティブな印象も受けますが、実際はお互いの好きなことや、やりたいこと、人生で実現したいことを尊重し合いより円滑でハッピーな夫婦生活を送るためのものであることがわかりました。ちなみに先述の夫婦も、契約書の内容を詰めていく中で、相手が大切にしたいことや譲れないことを話し合うことで改めてお互いの理解が深まったそうです。
ソーシャルで「婚前契約」の言葉と一緒につぶやかれている言葉(共起語)を見てみると、形容詞では「良い」が上位になっている他、「お互い」「干渉しない」等、互いに良い意味で干渉せず、尊重していくためのポジティブな行為であることがなんとなく見えてきます。
<「婚前契約」の共起ワード>
ではなぜ、今「婚前契約」が注目されているのでしょうか?
まずは、共働き世帯が当たり前になったことによる、男女の役割の均質化です。男女問わず仕事をするし、家事や子育てをすることが求められる中、お互いに求めることや役割をはっきりとさせておいた方が無駄なストレスを感じなくて済むのだと思います。
また、仕事人として、夫・妻として、親として様々な役割を背負わなくてはならない中、自分自身が大切にしたいことをしっかりと大切にし、ある程度の自由を確保したい。自分の心地よい生活習慣のペースをキープしたいという気持ちもあるのではないでしょうか。
このように「自由のための婚前契約」は「契約」という言葉がお互いを縛りつけるためのものである印象を受けますが、実は自分の自由や自分の習慣をキープすることで前向きに結婚生活を続けるためのツールともいえます。そういう意味で、お互いの自由度を確保するために最近増えているといわれる「事実婚」もその流れなのかもしれません。
今回ご紹介した「自由のための婚前契約」は結婚の話でしたが、この考え方を「何かに所属し責任を負いつつも、個人としての自由や生活習慣をキープすること」と拡大解釈することで、様々なビジネスチャンスが生まれるのではないかと思いました。
今の時代は、男女ともに「仕事も家庭も子育ても趣味も」全てを成立させることが求められる/追求できてしまう、ある意味非常に難しい時代だと感じます。そんな人たちが、少しでも前向きに楽しく生活できる仕組みが今後さらに増えていくのではないかなと感じました。
2007年 博報堂に入社。
ヒット商品やヒット習慣には飛びつかずにはいられない、ドミーハー。好きが高じて、ヒット商品やヒット習慣を生みだせると良いなと思い日々奮闘中。休日は家でアイドルのDVDを見るのが好き(主にジャニーズ)。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。