こんにちは。ヒット習慣メーカーズの鈴木です。
このコラムの公開日は2019年のクリスマスイブ。いよいよ年末気分も高まっている頃ではないでしょうか?月並み過ぎて言うのも恥ずかしいですが、本当に一年が過ぎるのは早いですね。。。今年も一年間コラムにお付き合いいただきありがとうございました。前回のコラムで中川リーダーが1000回を目指したいと気になることを言っていましたが、2019年の最後のヒット習慣予報を元気にお届けしたいと思います。
さて、今回のテーマは「プレイ・プログラミング」です。「プログラミング」というと、難しかったり、どこかすごく機械的なITの世界だと思ってしまいがちですが、それが子どもを中心に、遊び感覚で接することができる、親しみのあるものになりはじめているようです。
先日2歳半の子どもと一緒に子ども向けの国民的人気テレビアニメを見ていた時のこと。クリスマスを意識してのことか、そのアニメキャラクターのおもちゃのCMがこれでもかというほど流れていました。キャラクターの積み木、おままごとセット、車セットなど楽しげなものが続いたところに、同じキャラクターを使った「プログラミング玩具」のCMが流れました。突然の「プログラミング」という言葉に驚いてしまったのですが、3歳児くらいを対象に、キャラクターと一緒に楽しくプログラミングを体験できるものでした。少し前からプログラミング系のおもちゃは存在していましたが、それはどちらかというともともとそういったジャンルが好きな子どもを対象としている印象でした。それが、より低年齢化し、まずはキャラクターをきっかけに楽しくプログラミングを体験・好きになってもらうという点がおもしろかったです。
気になったので「プログラミングおもちゃ」をキーワードに見てみると、やはりここ数年で増え続けていました。ちなみに毎年激しく検索数が向上しているのはクリスマス直前の時期。この12月はかつてなく「プログラミングおもちゃ」が検索されていますね。
「プログラミングおもちゃ」以外に何か子どものプログラミングまわりで話題になっているものがないか調べると、プログラミングとアウトドアを掛け合わせた中学生・高校生向けの夏のキャンプを見つけました。全6日間の日程で午前中はトレッキング、マウンテンバイク、SUP(Stand Up Paddle Board)等のアウトドアアクティビティを楽しみ、午後はそれぞれの作品を開発するというもの。自然の中で体験したことが、そのキャンプの期間のみならず、中高生の将来的なプログラミングや作品にポジティブな影響を与えることが期待できるようです。一見インドアな印象があるプログラミングやITとアウトドアの掛け合わせが斬新でおもしろい事例です。
それでは何故今、子どもの早期のプログラミング教育や、中高生のアウトドア×プログラミングが話題になっているのでしょうか?
大きな契機となっているのは、学習指導要領の改訂です。新しい学習指導要領の方針は、「これからの社会が、どんなに変化して予測困難になっても、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。そして、明るい未来を、共に創っていきたい」(文部科学省 「改訂に込めた思い」より)とのこと。また、それを踏まえ大方針を「生きる力」としています。今までの教育は大きくは「詰め込み型」→「ゆとり型」の流れでしたが、より自分で考えて、判断し行動できるようになるための教育に舵が切られることになります。そしてその一環として2020年から小学校でもプログラミング教育が必修化されることになっています。そのことから、特に親を中心に、子どもにできるだけ早い段階からプログラミングに興味を持ってもらいたいという心理が働いたと考えられます。実際に先ほどの「プログラミングおもちゃ」の検索は2017年からぐっと高まっていますが、2017年は学習指導要領改訂が発表された年で、その内容が親のプレゼント選びにも大きな影響を与えた形です。
加えて、世の中ではAIがどんどん進化し、将来的にAIに取って代わられてしまう仕事も少なくないといわれる中、親としては自分の子どもの将来を少しでも良いものにしたいという想いから、プログラミングの知識を身につけつつも、AIにはない柔軟性や発想力も同時につけてあげられるよう、自然と遊びながらプログラミングを勉強できる、アウトドア×プログラミングのようなサービスが注目を集めていると考えられます。
このように、子どもがプログラミングと遊ぶように親しむ「プレイ・プログラミング」が拡がることで、様々なビジネスチャンスが生まれるのではないかと思いました。
今年の子どものプレゼントは本人が欲しがっていた電車のおもちゃにしましたが、来年以降は「プレイ・プログラミング」を意識した誕生日やクリスマスプレゼントも検討したいと思います!
2007年 博報堂に入社。
ヒット商品やヒット習慣には飛びつかずにはいられない、ドミーハー。好きが高じて、ヒット商品やヒット習慣を生みだせると良いなと思い日々奮闘中。休日は家でアイドルのDVDを見るのが好き(主にジャニーズ)。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。