本号では、全体テーマである「いいものをつくる、とは何か?」を思索する第五弾として、「文化」を特集します。価値や意味を共有するインフラであると同時に、知的、美的な精神活動でもある「文化」。その概念の曖昧さと複雑さを受け止めたうえで、風土や言語、宗教や芸術、伝統や権威、経済や政治など「文化」をとりまく観念や事象をとおして、「いいものをつくる、とは何か?」を思索する様々な視点を投げかけます。
今号の表紙は、1冊1冊色味が異なる「赤」のグラデーションです。人類が最初に使用した色とも言われる「赤」をシンボルカラーとし、シルクスクリーンという印刷技法で、職人が様々な赤を組み合わせながら手作業で刷り上げました。
また、連動企画として「赤から想起するもの世界100カ国調査」を実施。分析結果をウェブサイトで公開します。「赤」に込められた意味の差異や共通性をとおして、「意味を共有するインフラ」としての「文化」と、その背景にある風土、伝統、宗教や思想に思いを巡らせていただければ幸いです。
なお、本号は小野編集長体制での最後の『広告』になります。全体テーマ「いいものをつくる、とは何か?」を思索する集大成としての『広告』文化特集号にぜひご期待ください。
■雑誌『広告』最新号(Vol.417)特集:「文化」
・価格:1,000円(税込)
・発行日:2023年3月31日
・全国の書店およびオンラインショップで販売 *詳細は『広告』ウェブサイトに掲載
『広告』ウェブサイト:https://kohkoku.jp/
note公式アカウント:https://note.kohkoku.jp/
■内容
・文化とculture 〜 社会学者 吉見俊哉 × 『広告』編集長 小野直紀
・現代における「教養」の危機と行方 〜 哲学者 千葉雅也 × 『ファスト教養』著者 レジー
・SNS以降のサブカルチャーと政治(テキストユニットTVOD)
・開かれた時代の「閉じた文化の意義」 〜 哲学者 東浩紀 インタビュー
・「ことば」が「文化」になるとき 〜 言語学者 金田一秀穂 × 『広辞苑』編集者 平木靖成
・ふつうの暮らしと、確かにそこにある私の違和感(文筆家・塩谷舞)
・イメージは考える 〜 文化の自己目的性について(芸術人類学者・中島智)
ほか全35記事を収録。
■雑誌『広告』について
博報堂が発刊している雑誌『広告』は、1948年に広告文化の創造と発展を目的に創刊されました。博報堂の社員が中心となって編集制作を行い、数年に一度、編集長の交代とともに全体テーマや装丁、編集体制の一新を図っています。2019年にプロダクト開発に特化した博報堂のクリエイティブチーム「monom(モノム)」を率いるクリエイティブディレクター/プロダクトデザイナーの小野直紀が編集法に就任。全体テーマを「いいものをつくるとは、何か?」に据え、この問いを思索する「視点のカタログ」としてリニューアル創刊しました。