女性の就業率が増加するなか、女性たちのライフステージごとに異なる健康課題についての注目が高まっています。株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社長:水島正幸)の、女性の健康課題視点で企業の事業やサービスの構想を支援する「博報堂 Woman Wellness Program」は、10月18日の「世界メノポーズデー」を機に、30-60代女性を対象に「更年期に関する生活者意識調査」を実施しました。
第一弾では、更年期の「自覚に関する実態」についてご報告します。更年期は女性ホルモンが急激に下がることで身心の不調が出やすいと言われていますが、その不調が女性ホルモンの変化であることを自覚しにくく、よって対処が遅れる・不調のまま何もしない女性も多く存在するのが現状です。
今回の調査では更年期を自覚するまでのプロセスや自覚後の意識変化等に焦点を当て、前向きな気づきを得るためのヒントを探ります。
*本リリースにおける「更年期自覚者」は、調査において 「更年期による不調を自覚している」と回答した人を指します。生活者の意識を明らかにする調査のため、医学的な診断としての更年期症状・障害とは一部異なる可能性があることをご了承ください。
少子化対策の重要な打ち手のひとつとされる女性活躍ですが、月経やPMS(月経前症候群)、不妊、妊娠・出産・産後の不調、更年期など年代やライフステージで特有の健康課題が大きな障壁となっています。今回の調査からは、女性が感じている不調が更年期によるものだと自覚するのに約半年以上かかるという実態や、更年期を自覚することによって前向きな気持ちに変化する傾向が明らかになりました。
博報堂 Woman Wellness Programは、今後も女性の健康課題に関するナレッジ提供や商品・サービス・事業開発のプラニングなどの協業ワークに取り組んでまいります。
【調査概要】
○調査名:「更年期に関する生活者意識調査」
○実施期間:2023/08/24(木)~2023/08/25(金)
〇調査手法:インターネットリサーチ
〇調査地域:全国
○調査対象:スクリーニング調査:30-69歳女性 4,000名
本調査:30-69歳女性 600名(更年期自覚者400名/もしかして層200名で割付)
分析の際、スクリーニング、本調査それぞれで以下のウェイトバックを実施。スクリーニング:年代10歳刻みの人口構成に合わせてウェイトバック集計を実施。本調査:スクリーニング調査で自然発生した各更年期自覚状況の出現率と、年代10歳刻みの人口構成に合わせてウェイトバック集計を実施。(グラフ中のサンプル数はWB前の数値)
○調査主体:博報堂Woman Wellness Program
〇調査実施機関:株式会社ディーアンドエム
結果詳細①【更年期自覚の状況】
・40-50代女性のうち、更年期による不調を自覚している人(更年期自覚者)は26.3%。全国の人口に換算すると約449万人と推計。
・「もしかして更年期かもしれない」と感じている40-50代女性(もしかして層)を含めると48.6%、推計829万人。
・「自覚しており、医師の診断を受けた」と答えた人は4.9%に留まっていることがわかった。
※推計人数の算出方法:令和2年国勢調査より更年期のボリュームゾーンである40-50代女性の人口約1705万人に「更年期自覚者」の出現率をかけて推計
【更年期による不調の深刻度】
・更年期による不調の深刻度について、更年期だと病院で診断されている人の41.8%が「深刻である」(日常に支障をきたすほど深刻である+深刻である計)と回答。
・一方「診断されていないが自覚がある」人は25.0%、「更年期かもしれないと思う」人の深刻度は6.7%と低めの傾向にあることがわかった。
【不調を感じてからそれが更年期であると自覚するまでの期間】
更年期自覚者のうち、半年以内に自覚した人(早期自覚者)は約4割程度。一方、更年期の自覚に至るまで半年以上かかっている人は半数以上(58.0%)であり、不調が発生してから更年期だと気づくまでに相当なタイムラグが生じている。
【更年期における不調の症状】
更年期自覚者(ピンクの折れ線グラフ)は更年期による不調として、「顔がほてる/汗をかきやすい(66.1%)」以外にも「疲れやすい(51.4%)」「寝つきが悪い、眠りが浅い(50.6%)」「肩こり、腰痛、手足の痛み(45.4%)」等の様々な症状を感じている。様々な症状があり、かつそれぞれが感じる不調の形が異なっていることが、更年期を自覚しにくいことに関連している可能性を示している。
<不調を感じたときに思ったこと(OA)>
・急に暑くなる、心臓がパクパクする症状が出たときに、加齢だろうと思って、あまり気にしなかった。
3か月経過した頃に、もしや更年期かも?と思い、生理が止まっている期間を振り返ると、ほぼ確信した(49歳)
・寝汗がすごかったが特に何もしなかった。症状が続いて半年後更年期であることに気づいた(47歳)
・生理痛やただ体調が悪いだけかと思っていた。珍しく生理がなかなかこないことがあったときに閉経について調べたら自分の年齢くらいの人はちょうど更年期の年齢だと知り、今までの体調不良がそうだったのかとわかった。(49歳)
【更年期の対処法】
・更年期自覚者における更年期による不調の対処法として行っていることについて聞いたところ、「漢方(14.3%)」「運動(14.1%)」「食品選びや食事(13.7%)」と具体的な対策法を挙げている人は少数派。
・「あてはまるものはない(46.1%)」と答えた人が圧倒的に高く、不調はあれども対策している人は少数派であることが分かった。
結果詳細②【更年期を自覚してからの気持ちの変化】
■更年期自覚者では、更年期を自覚することにより気持ちの変化を感じていた
・更年期を自覚したことによる気持ちや行動の変化では「年齢上仕方ないことだと割り切れるようになった(71.6%)」「いつかは症状が良くなると思えるようになった(68.4%)」「症状の原因が分かって安心した(66.4%)」「自分の体調に気を遣うようになった(65.8%)」などが上位に。不調の原因に気づくことで、気持ちの切り替えや受け入れが起こり、気持ちに変化が生じたのではないかと考えられる。
【クレアージュ東京 レディースドッククリニック 大島乃里子先生によるコメント】
更年期とは、閉経前後5年間に起こる女性ホルモンの急激な減少とともに起こる様々な不調を示すものです。その症状はホットフラッシュのみでなく、息切れ・動悸、不眠、うつなど症状は多岐にわたり、個人差も大きいことが分かっています。女性の更年期障害や更年期に起こる不調は、社会的に取り上げられることが多くはありませんでした。しかしながら、今回の調査結果の通り、実は多くの女性が悩んでいます。治療法やセルフケアの方法は多くあるので、症状や対処法について、まず知っていただくのが一番大切だと思っています。また一人で悩んでしまうよりは家族や友人、職場の同僚や人事等サポートが得られることも大切です。もしかしてそうなのかも、という状況でも、医師に相談することをお勧めします。婦人科だけでなく、内科にもホルモンに詳しい医師はいます。日本女性医学学会に更年期障害に詳しい「女性ヘルスケア専門医」のいるクリニックのリストがありますので、思うところがありましたら調べてみてください。
一般社団法人 日本女性医学学会: https://www.jmwh.jp/
協力:クレアージュ東京 レディースドッククリニック(https://www.creage.or.jp/)
【博報堂 Woman Wellness Programについて】
女性の健康課題に着目し、女性たち一人ひとりがワークライフバランスを保ち、長く心地よく働き、生きていくことができる社会を目指して、クライアント企業の事業・サービス支援を行っていく社内横断プロジェクト。博報堂ビジネス開発局、博報堂キャリジョ研、博報堂シニアビジネスフォース 新しい大人文化研究所、博報堂ブランド・イノベーションデザイン局のメンバーを中心に、マーケティング・ブランディング、PR、ビジネス開発、クリエイティブなど、女性特有の健康課題に関する知識を持つ社員で編成。社外のコミュニティや有識者を巻き込んだマルチステークホルダー型で、事業・サービス開発支援、マーケティング支援などを行います。
「博報堂 Woman Wellness Program」に関するリリースはこちら
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/100867/