こんにちは。ヒット習慣メーカーズの藤田です。
今月からヒット習慣メーカーズに参画しました。先週の永井に引き続き、本稿がコラム初担当となります。僕は2019年に博報堂に新卒で入社して以来、関西支社におります。最若手であり、また関西在住という視点を大事にしながら頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします!
さて、今回ご紹介するヒット習慣は「セカンド青春」です。
「セカンド青春」とは、40代後半~50代の中高年の男性の、学生時代のような無邪気さをもう一回体験したいという志向を指す造語になります。「青春」といえば、恋愛や部活動などを想像されると思いますが、ここでは、社会人になる前の「学生っぽい遊び体験」の総称としてイメージしていただければと思います。
今年には、父親が学生になりきって学生生活を体験するドラマが人気を集めるなど、改めて「セカンド青春」に対する注目が高まっていると感じます。
博報堂生活総合研究所の生活定点によれば、「生活の中に刺激が欲しいと思う」というスコアは、2000年代前半から、男性全体では大きく変わっていない一方で、50代男性のスコアが倍近くに増加しています。
中高年層は、会社では管理職の立場、家庭では父親の立場として、それぞれ周囲からの目線や社会からの期待に晒されているからこそ、そうした日常への“スパイス”としての非日常の青春体験への興味が高まりつつあるのではないでしょうか。
では、「セカンド青春」とは、具体的にどういった行動に表れているのでしょうか。
1つ目は、「童心の復刻」です。
位置情報×ARでいろんなキャラクターを捕まえていくゲームが直近では爆発的に流行していましたが、過去自身が子どもだった時代にメインターゲットとしてプレイしていたゲームが、スマートフォンのアプリとして登場し、童心を思い出して過去楽しんだゲームを再び楽しめる機会が増えています。
実際、僕の周囲でもスマホを使ってキャラクターを集めることにハマっている40代の先輩もいましたし、ニュースとして中高年層がゲームのために公園にたまっている、ということも見聞きしました。かつて自身がハマったものを再び体験できるということで、小さいころの記憶とセットでゲームを楽しんでいる人が多いのではないでしょうか。
2つ目は、「アウトドア熱の高まり」です。
代表的なものでいえば、キャンプです。コロナ禍の影響もあり、改めてキャンプブームが女性の若年層を中心に広がっています。ここ5年のGoogleトレンドを見ても、キャンプの熱が全体として高まりつつあることが見て取れます。
とりわけ中高年層にとっては、自分が若かったころのキャンプブームと重ね合わせ、若い時の気持ちを重ね合わせながら楽しんでいる人が多いのではないでしょうか。
アウトドアという点で言えば、キャンプにとどまらない遊び熱が高まっています。
最近では電動アシスト自転車の購入が増えていたり、またドローン遊びに熱中してドローン教室に通う人も見られるなど、アウトドア全般が注目されており、若かったころの遊びをもう一度体験したい中高年層が増加しているといえると思います。
3つ目は、「一人旅の増加」です。
世の中全体として一人旅に注目が集まっている中で、とりわけ、中高年層におけるニーズは高まっているようです。
じゃらん宿泊旅行調査によれば、延べ旅行件数に占める一人旅の割合は、2010年度から2019年度にかけて、全体では5.5%の増加だったのに対し、35~49歳男性では8%の増加、また50~79歳男性では、7.1%の増加と、全体より増加率が高い結果となっています。
世の中全体として一人旅が盛り上がっていることで、中高年の世代も気兼ねなく旅ができるようになり、若かったころのように現実から離れて遊びを楽しむ人が増えているのだと思います。
では、「セカンド青春」が今高まっている背景には、何があるのでしょうか。
要因としては、大きく2つあると考えます。
1つ目は、価値観の変化です。
ワークライフバランスやワークアズライフといった考え方が世の中に浸透し、全世代で遊びを真剣にやっている人がカッコイイという価値観が強まりつつあります。
そうした結果として、40代後半~50代になっても若いころのような気持ちを忘れずに楽しむ人がカッコイイと認識され、そうした姿に同世代としてあこがれる人が増えているといえるのではないでしょうか。
2つ目は、若者文化に触れる機会の増加です。
今やTwitter、Instagramを通じて、他人の生活を簡単に見られるようになりました。とりわけ、最近では、若年層中心のSNSで中高年層がアクティブになってきていると言われており、その結果として中高年層も若年層の考え方に簡単に触れられるようになったことが大きく影響しているのではないでしょうか。
中高年のSNS利用増加という点で言えば、遊びながらお金を稼いでいる同世代や、自分のやりたいことを追求している同世代の動向も見られるようになったことも要因として挙げられると思います。
また、一部ではありますが、若年層とのオフライン接点の増加も影響していそうです。近年では、社会人で大学院に入り直す人が増えているので、そうしたリアル接点によっても、若年層に影響される中高年層が増加していると考えられます。
最後に、今高まっている「セカンド青春」をめぐるビジネスチャンスについて、考えてみました。
僕自身、年齢が若くいられる今の時間を大切にして、仕事にもプライベートにも全力で向き合い、学生のころの無邪気さを忘れず「ファースト青春」を楽しみたいと思います!
愛知県蒲郡市にて、3人兄弟の三男として生まれる。
2019 年博報堂に入社、希望して関西支社に赴任。マーケティングプラナーとして、また一生活者として、目の前の義憤を仕事に変えようと奮闘中。ワインと日本酒、政治モノの海外ドラマが好き。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。